会社を設立するには、事前にさまざまなことを決めておかなければなりません。
ここでは株式会社を例にとり、会社設立の手順について見ていきましょう。
会社設立のおおよその流れ・手順は以下のようになります。
会社設立の流れ
最初に、どのような会社を設立するか、会社の概要を決定しなければなりません。このとき、最低限、以下の事項を決める必要があります。これらの事項は後述する「定款記載事項」となりますので、明確に決めておきましょう。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 資本金の額
- 発起人(出資者)
- 各発起人の出資額
- 発行可能株式総数(株式会社の場合)
- 設立時に際して発行する株式の数(株式会社の場合)
- 株式譲渡制限の有無(株式会社の場合)
- 公告の方法
- 事業年度
- 設立時取締役(社員)&設立時代表取締役(代表社員)など
STEP1で決定した会社の概要について文書にまとめたものを「定款」といいます。定款は「会社の基本ルール」とイメージしていただければわかりやすいでしょう。会社の概要を決めながら同時並行で定款を作成することも可能です。
株式会社の場合は定款を作成した後、公証役場において、定款が法令に基づいて作成されたことの証明を受けます。これを「定款の認証」といいます。
発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は出資者全員が、発起人または設立時取締役(社員)のうち誰か1人の銀行口座に出資金を払い込みます。このとき、払い込んだ金額が資本金となります。
資本金の銀行への払い込みは定款の認証を受ける前であっても問題ありません。
定款の認証を受ければ、次に会社の設立登記をします。会社は登記することによって設立されます。登記をするためには登記申請書を作成し、定款や資本金の払込証明書、役員の就任承諾書など必要な書類を添付して法務局へ提出しましょう。
登記申請書の記載事項は商業登記法で定められており、この法令に従って作成されていなければ申請は却下されます。一般的には、登記実務の専門家である司法書士に作成を依頼することになります。
会社の設立日は、原則として法務局に登記申請書を提出した日となります。土日祝日は法務局が開いておりませんので、設立希望日が土日祝日の場合は残念ながら別の平日に変更する必要があります。
そして、登記が完了すれば登記完了証が交付されます。登記完了証が交付され、登記事項証明書や印鑑証明書、印鑑カードができるまでには、登記申請書を提出してから1週間程度を見込んでおけば良いでしょう。
会社設立後に必要な手続き
会社の設立が完了したら、会社名義の口座を開設します。審査基準は個人の場合よりも厳しく、開設まで時間がかかることが多いので、会社設立後すみやかに手続きをしてください。
口座開設に必要な書類は主に以下のとおりです。
- 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 定款
- 会社印
- 代表者の印鑑証明書
- 代表者の実印
- 代表者の身分証明書
- 会社の概要がわかる資料
会社を設立した後は2か月以内に、法人設立届出を税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ提出する必要があります。また、税務署には青色申告承認申請書も同時に提出するようにしましょう。青色申告できるかどうかは会社の税金に大きな影響を及ぼしますので、忘れずに提出してください。
従業員を雇う場合は、税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出、及び社会保険事務所や労働基準監督署、ハローワークへ各種届出が必要になります。