事業を起こすには、ある程度の資金が必要です。
そこで、無担保、低金利で事業資金を融資してくれる制度があります。
ここでは、日本政策金融公庫の創業融資を例にとって申請の流れ、必要な書類について詳しくご説明いたします。
創業融資とは何か?
事業を起こすのであれば、開業資金は当然のこと、事業がある程度軌道に乗るまでの運転資金も必要となります。
それまでに多額の貯金が出来ていれば問題ありませんが、そうでない場合は金融機関で借りる必要が出てきます。
ただ、まだ事業を始めていない、あるいは始めたばかりで実績がない個人や会社が、市中銀行から融資を受けることは非常に難しいと言えます。
そこで、政府系金融機関である日本政策金融公庫では、起業する個人や会社に対して融資を行なう「創業融資」という制度を設けています。
申請する際に、必要な書類の提出や面接などがありますが、基本的に融資を行なう際の担保は必要ありません。
また、返済期間は、設備投資の場合は20年以内、運転資金の場合は7年以内で、元本の据置期間*が最大で2年となっており、融資を受ける側にとって、かなり有利な条件になっています。
*返済が開始するまでの猶予期間であり、その間は利息の支払いのみでよいため資金負担が軽減されます。
市中銀行に比べて通りやすいとはいえ、必ず審査がとおるわけではないため、十分な準備・対策が必要です。
手続の流れは?
申請するには、まず、日本政策金融公庫に連絡をします。
コロナ禍の影響もあり、事前予約が必要ですので、電話で融資を受けたい旨を伝えましょう。
日本政策金融公庫には全国に支店がありますので、ホームページを見て自社の管轄支店を確認しましょう。
事前予約の際、担当者から必要書類をもらい、手続きの流れなどを確認するとともに、疑問点なども聞いておきましょう。
その後、必要書類(詳しくは後述します)をすべて準備して、管轄の支店に提出します。
この時、持参しても構いませんが、郵送でも差し支えありません。
後日、担当者から通知があり、面談が行なわれます。通常、30分から1時間程度です。
面談の内容は、提出した書類に関する内容です。
特に、創業計画書の内容や実現可能性については詳しく聞かれるので、想定問答集を準備するなどして、明確に答えられるように準備しておきましょう。
また、開業資金、運転資金の金額についても、根拠があるかどうかポイントになります。
担当者が納得できる説明ができるように、十分備えておきましょう。
面談後には、一般的に事業を行なう場所(会社、店舗など)を実地調査されます。
また、追加の資料なども請求されることがありますので、きちんと対応しましょう。
面談の1~2週間後に、審査結果が通知されます。
申請した金額が全額融資されずに、減額されることもあります。
申請が通れば、数日後には、指定した金融機関の口座に振り込まれます。
申請に必要な書類は?
融資を申し込む方の事業の内容によって変わってきますが、申請に必要な書類の例として、以下のようなものが挙げられます。
借入申込書
ホームページからダウンロード、あるいは日本政策金融公庫の支店で入手できます。
創業計画書
申請の中核となるものです。しっかりとした計画の下で、事業を行なおうとしていることが読み取れる内容にしましょう。
通帳のコピー
現在の財務状況を確認するためのものです。
履歴事項全部証明書
会社の登記簿です。会社の所在地、資本金や役員一覧などを確認するためのものです。
見積書
設備投資を予定している場合に提出します。融資希望額の根拠となります。
不動産の賃貸契約書
事務所や店舗を借りている、あるいは借りる予定の場合は、賃貸借契約書を提出します。
資金繰り表
事業を行なうにあたり、資金の内訳を記した書面を提出します。
許認可証(許認可が必要な場合)
行なう事業が行政庁などの許認可を要する場合には、その許可証を提出します。
運転免許証コピー
身元確認のためです。
印鑑証明書(法人のもの)
会社を設立して登記を行った際に、法務局に届け出ている会社の実印の証明書を提出します。
知事の推薦書
知事の推薦書が必要な「生活衛生関係」とは、例えば飲食や美容などの営業です。必要書類を都道府県の窓口に提出すれば、入手することができます。